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[ モノづくりの向こう側 vol.04-3 後編 ] fragrance yes・山野辺喜子さん

アロマスキンクリームやボディオイルなど、セルフケアのサポートとして生まれた『fragrance yes』の製品は、主に「on」「off」「refresh」という3つの香りで展開されています。

 さっそくテスターを試してみると、なるほど、どれも言い得て妙なネーミング。「on」はユーカリラディアータやペパーミント、ローズマリーなどのすっきりとした清涼感のある香り。「off」はオレンジやラベンダー、シナモンなどさわやかさの中にほんの少し甘美さを感じる香り。「refresh」はゼラニウムやローズウッド、ベルガモットなど、深呼吸を誘う、すがすがしさと華やかさが入り混じる香り。

「実際嗅いでみて、どれが気になりましたか? というのも、もしonの香りが気になったようなら、元気がほしいときなのかもしれないし、offの香りだったら、ちょっとリラックスしたいときなのかも」と、山野辺さん。
香りのもとのアロマオイルにはそれぞれ薬理効果があって、香りが「今の自分の状態」を気づかせてくれるきっかけにもなるのだそう。
 これは、疲れたときに甘いものや酸っぱいものを食べたくなる感覚と似ているのかもしれません。食材に栄養があるように、アロマオイルにも効能が。だとすると、香りはセルフケアの入り口。食べものと同じくらい、香りにも関心をもって、それらを意識的にとり入れられるようになると、より健やかに日々を過ごせるのではないでしょうか。

「まずは、使い勝手の良いマスクスプレーからはじめてみるのも良いですし、日頃行っているスキンケアに植物由来の天然オイルをとり入れるのもおすすめです。たとえば、yesのスキンケアクリームはナチュラル処方で、香りもご自身のライフスタイルに合わせてお選びいただけるので、安心して気軽に使っていただけるかと思います。」

ー一般的な化粧品の表示によくある防腐剤や酸化防止剤が入っていないのはなぜですか?
「できるだけ余分なものを入れずに作りたいという思いがあり、化粧品原料のメリットとデメリットについて学び、現在のレシピに至りました。

ースキンケアって、天然の素材だけで十分なんですね。
「そうですね。私もふだんはローズウォーターとこのクリームだけでケアしています。からだのバランスを崩し痒みが出てしまったときは、先ほども話題に出た肌の不調を緩和するオイルでケアしますが、これも天然の植物由来のオイルです」

ー食べ物と同じで、品質表示がシンプルだと安心できます。
「私も自分が植物療法によるセルフケアをはじめたときに、安心して使えるものが少なく、自分でつくりはじめたという経緯があるので、活動するにあたり、いつ何を聞かれても『yes』と答えられる製品づくりや活動をしますという『約束』の思いをブランド名に込めたんです」

 最初は自分のため、次に家族や友人のため、続いて、だれかの大切な人のためへとつながっていった『yes』の思いは、ワークショップや化粧品づくり、そして原料をたどる森での活動と、そのときどきで必要なプロセスを踏みながら、今の形に至っています。
それはまさに『yes』自体を形づくる、ものづくり。

「だからでしょうか。わたしの周りにはものづくりをしている人たちが多く、その人たちがつくったものを身につけると力が湧くんです。この服は『yes』のディレクションもしてくれている友人が手がける『Phablic×Kazui(ファブリックバイカズイ)』というブランドのもので、制服として愛用しています。靴は名古屋を拠点に活動されている革職人の『Arti(アーチ)』さん、大容量のリュックや財布は旅道具をコンセプトに革小物をつくっている『vasco(ヴァスコ)』の並木さんがつくってくれたもの。『vasco(ヴァスコ)』では、私がつくった『アロマレザークリーム』を扱ってくれていれ、もちろんこれも天然の植物由来なので、革だけでなく、肌や唇、髪にも使えるものなんですよ」

ー『yes.』の活動とものづくり、そして自身の生活が地続きなんですね。
「そうかもしれません。この20年、背景には苦しいこともいっぱいあったんですが、セルフケアのお手伝いを続けるうちに、こうした人とのつながりができ、コロナになる前はドイツ、イタリア、フランスなどのハーブ生産者さんを訪ねたりもよくしていて。セルフケアのおかげで『生きることを楽しむ』ことができるようになりました。だから『yes』が伝えたいことも、そこにあります」

 『日々の暮らしに香りを添え、こころとからだを整える。
yes はセルフケアというライフスタイルを提案します。
やさしい香りは「こころ」を癒し、自然の素材は「からだ」を癒してくれる。
yes があなたの鍵となり、素敵なストーリーの扉が開きますように…』
(『fragrance yes』のHPより抜粋)

 山野辺さんの思いはここに凝縮されているように感じます。それはまるで天然オイルのごとく純粋に濃厚な道を歩んできたからこそ抽出できた、『yes』の一滴。

さて、すっかり話が逸れてしまいましたが、忘れてはいません。
マスクスプレーのことを。

 マスクの着用で、匂いに敏感になっている今だからこそ、味気ない消毒でもなく、香りづけのための香水でもなく。ですが殺菌効果があり、食後の気分がよくなる自然な香りのスプレーが欲しい。欲をいえば、食後はもちろん、気持ちを切り替えたいときにも、シュッとひと吹きでリフレッシュできる、すっきりとした爽やかさのある香りだとうれしい。そんな思いを山野辺さんに託し、この日は帰途につきました。

その後できあがった第一弾の試作品は、殺菌力を考慮したすっきり感が強めのブレンド。そこに「食後」の多幸感を加えることが、このスプレーの課題となりました。

 おいしいものを食べたときに、もう一度、あの味を食べたいなと思う気持ちとセットで心に残るような香り。それが果たしてどういう香りなのか。

 山野辺さんに感想を伝え、調整してもらってはそれを嗅いで……を繰り返し、ついに掴んだ「しあわせの余韻」。それは、すっきりとした中にも、甘さやまろやかさを感じられる、ふくよかな香りでした。

最終的に選んだアロマオイルは、クロモジ、ジュニパー、ティーツリー、ベルガモット、ラベンダーの5種類。もちろん香りだけでなく、薬理効果を考えてブレンドされたものなので、それぞれの効能が鼻腔を通して、身体にやさしく働きかけてくれます。

「クロモジは、抗菌、消炎作用や胃腸の不調を緩和する効果があり、和ハーブならではのやわらかな香りも特徴。ジュニパーは、お酒のジンの香りづけに使われている実です。独特なスパイシーな香りで、代謝や肝臓の働きを高めて余分な水分や老廃を排出し、むくみや冷えをとってくれるといわれています。ティーツリーはとにかく殺菌・抗ウイルス効果が高く、感染症予防にぴったり。花粉の時期の強い味方でもあります。ベルガモットは紅茶のアールグレーの香りづけにも使われているもなのですが、とても香り高く、気持ちを明るくしてくれ、抗うつ作用があるといわれています。ラベンダーは、なんといってもリラックスに欠かせない香り。精神を安定させる成分が含まれているので鎮痛作用もあります」

「アフターミールズ」と名づけたこのスプレー。ベースには植物由来のアルコールを使っていて、マスクだけでなく、食前や食間の手指の消毒にも使えます。
 手軽に「シュッ」とひと吹きの簡単セルフケア、はじめてみませんか。

文:多田千里

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fragrance yes・山野辺 喜子 Yoshiko Yamanobe

福島県いわき市出身。セラピスト、フレグランスコーディネーター。2014年にオリジナルブランド「fragrance yes」をスタート。東京・赤坂のアトリエ「yes エルブメディシナル」を拠点に、肌のカウンセリングや安心して使えるスキン・アロマ製品の開発を行っている。